1970年
まだまだ田園風景が残る日本にアメリカ文化が洪水のように入ってきていた時代。
その当時アメリカを意識し、一斉風靡していた有名ミュージシャンからアメリカ製の革財布をプレゼントされ、アメリカ独自の素朴さから伝わる作り手の心や文化を初めて感じる。
1980年
モータースポーツ、バイク、アウトドアスポーツが盛んになる。バイクでの旅やアウトドアで活動するには道具が必要だった。この時代はハイテク素材時代でもあり、道具は全て新素材で極めて便利で合理的なものだったが長い時間を共にする道具(相棒)とするには暖かみや持つ喜びを感じないものだった。その不満を解消すべく、基本的機能はそこなわず、もっと喜びを持てる「モノ」探しが始まる。
インターネットなどない時代。国内のショップ巡りや雑誌、海外通販カタログなど、時間ある限り探し求め研究する日々が続く。その結果、やはりアメリカ製は「素朴で丈夫」、ヨーロッパ製は「繊細・丁寧」だった。しかし、アメリカ製は相変わらず粗く、ヨーロッパ製は高価で弱いと感じるところもあり、満足のいくものではなかった。
米国と欧州のよい所だけ集めたものはないのか?
この疑問は更に深くなり、ついには渡米。そこで数多くの「ARTISAN(アルチザン)」と呼ばれる人々と出会い、欧州では「MEISTER(マイスター)」と呼ばれる人々、日本では「SHOKUNIN(職人)」と呼ばれる男たちに出会い、学ぶ。
学べば学ぶほど、レザー製品に興味を抱けば抱くほど、違う疑問が湧いてきた。日本で既に有名だったレザーメーカーでは「職人、熟練」をうたいながら20歳ほどの経験の浅い若者が作っていたり、「最高の皮革」とうたいながら私たちには考えられない低品質だったり「純銀パーツ」と書かれた商品がメッキだったり、更には素材と製法に見合わぬプライスだったりとその現実に悲しさと強い憤りを感じる。
1990年
ついに「アメリカの味」「ヨーロッパの精度」「日本の伝統技術」を結集させる場所KC,sが大阪に生まれた。品質には自信があったが、プライスを抑えるために広告などを他社に比べて極力抑えた結果、当初は認知度が上がらず、一部の人々の「知る人ぞ知る」マニア的なブランドだったKC,s。
「熟練とは最低10年の経験」「厳選された素材」などのポリシーを崩すことなく作り続けたことで、創業から数年経った頃、本物を見分ける目を持つ人々が増え、KC,sの認知度も上がり、専門誌に多く取り上げられ、有名JeansBrandのコラボや専門店、百貨店など全国で販売し信用を得るようになる。
2000年
KC,sは日本の本物志向の専門店はもとより、本場アメリカのセレクトショップにもラインアップされるようになる。大阪には「KC,s Factory Store(直営店)」やKC,sに共感してくれる「Flag Ship Shop(協力店)」も増え、更なる技術の追求と妥協を許さない商品づくりを続ける。
2010年
全国のファンの皆様に支えられ、KC,sも創業から20年。KC,sの職人は30年以上の経験を持ち、日本のみならず世界でも認められるようになりました。しかし、これで、終わりではありません。これからも、より一層幅広いお客様のニーズに応え、納得のモノづくりを求め続けていきます。
20th Anniversaryを記念に新しいデザイナーを加えた新しいラインナップや各々の熟練職人の独自の個性を活かした新ブランド展開など今後のKC,sもご期待ください。